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2005年9月17日 (土)

沼田祇園祭 其の五

Dsc03296 「ハッハッハッハッハッハ!よく判つたな。さすが、神楽小僧」
「驚いたな、天狗の傳説は先ほど聞いたところだが、その天狗がまだ生きてをつたとは。しかし、どうしてオイラが神楽小僧だといふことが判つた?」

「沼田の駅でオレがお前を睨んだのを覚えてをらう。電車から降りた時、お前には影ができてをらんかつたから、ははあ、こやつは人間ではなく妖怪に違ひない、祭りを見に來たからには祭りの好きな妖怪、神楽小僧だらうと察してをつたわ」
「なるほど、あの時、天狗の面の眼が一瞬異様な光を放つたと思つたが、やはりあれは本物の天狗の眼だつたか」

「そんなことはどうでもよい。小僧よ、お前が妖怪と判つたからには、このままにしておくわけにはいかぬ。天狗以外の妖怪をオレたち天狗の里、この沼田にのさばらせておくわけにはいかぬのぢや!」
「と、といふと、一体どういふことだ!」

「今直ぐここを立ち去れ!さもなくば、仲間を呼んでお前を叩きのめし、丸めてゴミ焼却炉にでも放り込むぞ!と、本來は云ひたいところだが、この暑い中、このやうな遠い所まで祭り見物にやつて來た者を直ぐに追ひ返して、沼田の天狗は余りにも冷たいと云はれても困る。そこでぢや、お前にチヤンスを与へてやることにする。なぞなぞをまう一つ出してやるから、それを解いたら、今日一日だけはこの沼田で過ごすことを許してやらう、その時は祭りなり何なり存分に楽しむがよい、さういふことぢや。よいか、そのなぞなぞとはこれぢや、たかさごにいがのみはじけどんぐりこ、さて何ぞ?」
「とほほ、なんといふことだ、祭りを見に來たのに、こんな所で天狗となぞなぞ遊びをすることになるとは・・・い、いや、なんでもない、それより今なんと云つた?」

「高砂にいがの実はじけどんぐりこ、ぢや」
「高砂と云へば『まつ』、いがの実は『くり』、どんぐりは『くぬぎ』・・・さうか、判つたぞ!『まつ』と『くり』だから『まつくり』、それから『くぬぎ』、つまり『く』を抜けば、フフ、それはオイラの好きな、ま・・・つ・・・り、さあどうだ!」

「ピンポーン!やれやれ、たちまち当てられてしまつたか。どうやらちよつとばかり易し過ぎたやうだな。仕方が無い、今日だけはこの沼田に立ち入ることを許してやらう。祭りが終はつたら早々にここから退散するのだぞ。それから小僧よ、このなぞなぞはほかで使ふなよ。このオレに著作権があるからな、よいな、ハッハッハッハッハッハ!」
と天狗が笑ふなり、またしてもけやきの高い所にある茂みがザワザワと揺れたが、その音が静まると、それきりけやきの木からは蝉の鳴き声のほかには何も聞こえてこなくなつた。代はりに、町のはうから賑やかなお囃子の音が風に乗つて聞こえてきた。

蝉の声止んで仄かな御神燈  神楽小僧

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