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2005年9月 5日 (月)

沼田祇園祭 其の一

Dsc03291 といふわけで、この祭遊記、最初に紹介するのは、群馬県は沼田の祇園祭、地元では『おぎよん』と呼ばれる山車祭りである。祭りは京都の祇園祭をルーツとする、牛頭天王を祀る須賀神社の祭礼で、毎年八月上旬に行はれることになつてゐる。神輿はもちろん出るが、主役は『まんど』と呼ばれる山車であり、そのまんどが曳かれるやうになつたのは約百五十年前といふから、関東の山車祭りとしては歴史のある祭りと云へるであらう。蛇足ながら、『まんど』は本來『まんどう』であり、おそらく『萬燈』に由來するのではないかと思はれる。

関東近辺で近日中に行はれる祭りで何か面白いのはないか、とインターネツトでそれを調べてゐた時に、その沼田の祭りがちようど行はれてゐることを知り、翌日の朝、寝所(ねぐら)としてゐる東京は練馬の安アパートから目的地へ向かつたのであるが、JRを幾つか乗り継いで、四方を山に囲まれた盆地にある、小さくはないがよく見かける田舎の駅のやうな閑散とした沼田の駅の、夏の太陽がカンカンと照りつけるプラツトホームに降り立つたのは正午を少し過ぎた頃であつた。

出かける時は山間部だから幾らか涼しいのではないかと思つてゐたのであるが、それは大間違ひで、盆地にあるせいか沼田は東京よりも暑いやうに思へた。ほかに電車から降りたのは数人の地元の人らしき人々で、その人たちと一緒に改札口に向かはうとすると、駅舎の壁に赤い顔をした天狗の大きい面が飾つてあるのが見えた。ほお、立派な天狗の面だな、と暫しそれを眺めてゐると、突然それがこちらをギヨロと睨んだやうに思へたから一瞬ドツキリとしたのであるが、同じ壁に貼られてゐる祭りのポスターにも天狗の面は大きく取り上げられてゐたので駅員に訊ねると、沼田には『天狗みこし』といふ大きな神輿があつて、三百人を超える女性によつてそれは担がれ、祭りの中心的存在になつてゐるといふ。

後で土地の人から聞いた話によると、なんでも、沼田にはその昔修行を積んで神通力の並外れて強くなつた天狗が澤山住んでゐたといふ云ひ傳へが残つてゐて、その天狗の面を神輿に仕立て上げたのがその『天狗みこし』といふことであつた。

氣がつけば天狗の里か蝉しぐれ  神楽小僧

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