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2005年12月 7日 (水)

秩父祭 其の二

Simg_5358 その日は、西武鉄道の鈍行に二時間余り揺られた後、正午少し前に秩父に着き、まづは腹拵へと、駅前に並んでゐるテント張りの屋台の一角で地元の人たちが作つてゐた一杯四百円のうどんを食べたのだが、これが大変美味しかつた。『おつ切り込みうどん』といふ秩父名物のうどんださうで、山梨の『ほうとううどん』と同じやうなものと云つたら判りやすいか、大根や人参、ごぼうなどの具が澤山入つた汁の中に名古屋のきしめんをまう少し太くしたやうなうどんを 入れて煮込んだもので、その田舎仕立ての素朴な味はひは、体の芯は云ふに及ばず心の中まで温まるやうな、そんな心地よい氣分にさせてくれるものであつた。江戸天下祭の時に日比谷で頂いた二百円の焼きそばを思ひ出したわけではないが、まう少し値段が安ければ、これを食べることができただけでも秩父へ來た甲斐があつた、きつとさう思つたに違ひない。

いつもより混雑してゐる大通りで上町屋台、中町屋台、中近笠鉾を眺めてから秩父神社に足を運ぶと、これもいつもより人の多い境内には、思つた通り宮地屋台と下郷笠鉾の、その動く陽明門と形容されるやうな美しい姿を認めることができたのだが、どういふわけか、初めて訪れた一昨年とは異なつて、その境内には秩父歌舞伎の舞台が設へてあつた。秩父神社の境内で歌舞伎を演じるのが本來のやり方かどうかは判らないが、一昨年は中町の家電量販店の前でそれが催され、平日といふことはあつたにせよ、観客も今回のやうに多くなく、ゆつくり観られたことを思ふと、澤山の人が詰め掛けてゐる境内で、後ろのはうからしかその歌舞伎を観られないのは実に残念なことであつた。

Simg_5391 それはともかく、神社の奥の拝殿にお参りしてから境内に戻ると歌舞伎は既に始まつてゐて、最初の出し物は『白浪五人男』であつたが、なにも失礼なことを云ふつもりは無く、これは親しみを込めて云ふのだが、どさ廻りの旅役者のそれよりももつと垢抜けてゐないと云へばよいか、前回観た時と同じやうに芝居を演じる地元の若衆たちの所作には少し間の抜けたところがあり、そのやうななんとなくお笑ひ芸人のやうな仕草から本來の黙阿弥の台本には無いギヤグが飛び出した時には思はず笑つてしまつたのであつた。

大根をたくさんねだりうどん汁  神楽小僧

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