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2006年3月26日 (日)

豊橋神明社の鬼まつり 其の二

Simg_6366 どのやうなところが変はつてゐたのかといふと、それはまづ子供たちの所作で、舞台の中央に向き合ひながら二列に並んだ彼等は全員小さい拍子木を簾状に束ねた楽器のやうなものを手にしてゐたのだが、突然立つたり座つたりする動作を始めたかと思ふと、大人たちの小鼓に合はせて、それを鼻の辺りで、あたかも南京玉すだれを操つるやうにして引つ張つたり曲げたりしながら、シヤンシヤンといふ乾いた響きの音を鳴らしたり止めたりし始めたから、眼を凝らしてそれを眺めてゐた小僧も、歴史のある祭りの神事だからその所作には何か意味があるのだらう、しかし、ちよつとばかりミステリアスではある、と思つたのであつた。だが、それはまだよいとして、続いて行はれた大人たちの所作が、これがまたそれに輪をかけて奇妙なものであつた。

二人の大人が十徳に袴といふ装束で小鼓を手にしてゐて、さながら三河萬歳の太夫と才蔵のやうな恰好であつたのだが、この二人が代はる代はる舞台の中央に出てきて演じた所作は、小鼓を打ち鳴らした後、相撲取りが四股を踏むやうな恰好で片足を大きく振り上げ、その足で思ひ切り床を踏んづけようとするが、それはどういふわけか空振りを喰ひ、勢ひ余つた体は前にどつとつんのめる、と云つたやうなもので、その動作だけを何度も繰り返すのであつた。

Simg_6402 といふわけで、この一連の所作には一体どういふ意味があるのだらう、と小僧は好奇心を 大いに掻き立てられ、近くに居た地元の人らしき年配の人々に次から次へと訊ねたのだが、誰もが笑つて首を振るだけで、残念ながらその答へを引き出すことはできなかつた。そこで、ならば神事が終はるのを待つて演じてゐる人たちに訊いてみるかと小僧が考へてゐると、後ろから背中を叩く者が居る。小僧が振り返ると、そこには法被を着た小学生くらゐの坊主頭の男の子が立つてゐたのだが、その顔には子供らしからぬにやにやとした薄氣味の悪い笑みが浮かんでゐた。

春宵に神の出て舞ふ鼓かな  神楽小僧

(つづく)

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