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2006年4月10日 (月)

豊橋神明社の鬼まつり 其の三

Simg_6405 子供にしては随分ひねた顔をしてゐるな、と思ひながら「一体、オイラに何の用だ?」と小僧が訊ねると、その子供の口からはこれまた子供には似合はぬしはがれた声が発せられた。
「お前は妖怪ぢやな。な、さうぢやろ?」
「よ、妖怪、一体なんのことだ?」
「しらばつくれんでもよい、そんな人間のやうな恰好をしてをつても、オレの眼は誤魔化されんぞ、ヒヒ」
「バレたか、だが、オイラが妖怪だと見破ることのできる子供などは居ないはず、さてはお前は人間ではないな、全体お前は何者だ!?」

「ヒヒ、その通り、オレは人間ではない。オレはな、ここの社に古くから住んでをる狐ぢや」
「狐?すると狐が子供に化けてゐるといふことか。だが、その狐がオイラに一体何用だ?」
「うむ、お前は今そこで演じられてをる神楽の所作のことをあれこれ人に訊ねてをつたであらう?」
「さてはオイラをずつと観察してゐたな。オイラは妖怪だが怪しい者ではない。ただ、祭りが好きなだけだ。だから、かうやつて東京からわざわざやつてきたといふわけだ。だが、余りにも変はつた神楽でな、そこで、その所作の意味を人に訊ねたのだが、誰も知らないやうで、判らないとなるとますますそれを知りたくなるといふもんだ。だが、それがどうした?」

「うむ、そこで、オレが親切にも教へてやらうといふわけぢや。最初に子供たちが行つたのは『ポンテンザラの田楽』と云つてな、手にしてゐたのは拍板といふもので、あれを鳴らすことによつて神楽の舞ひの音調べ、つまり予行演習を行つたといふわけぢや」
Simg_6340_1 「なるほど、だが、そのポンテンザルといふのは一体なんだ?天ざるなら大好物だからよく知つてゐるが」
「ポンテンザルではない、ボンテンザラぢや。拍板の音がそのやうに聞こえるところからさ う呼ばれるやうになつたのぢやよ。そして、次に鼓を持つた二人の男たち、これを司天師と呼んでをるが、この司天師たちが今行つてをる所作を『司天師神楽』と云つてな、なにも相撲取りのやうに四股を踏んでをるわけではない、高天原に現れた暴ぶる神が貯蔵してある穀物を撒き散らしたりして悪戯をするのを懲らしめようとした神がその暴ぶる神と戦つた末に傷ついてびつこになつた傳説を踏まへ、びつこを引きながら、時にはつんのめつたりよろよろしたりして面白く神楽を舞つてをるといふわけぢや」

踏みて知る夜の社の石並べ  神楽小僧
(つづく)

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