« 浅草三社祭 | トップページ | 浅草三社祭 其の三 »

2006年5月25日 (木)

浅草三社祭 其の二

Simg_0105_1 小僧は最初に三社祭を見物した時、神社が浅草寺の裏にあることを知らなかつたこともあつて、寺の境内に神輿が澤山担ぎ入れられるその光景に奇異な感じを受けたのだが、浅草寺の境内に浅草神社があり、その浅草神社の例祭である三社祭は元々は浅草寺の行事であつたといふことを後に知つて、なるほど、昔は神仏混淆は当たり前だつたからな、考へてみれば不自然なことではない、と直ぐに納得したといふことがあつた。そもそも、浅草神社は浅草寺の本尊である観音菩薩像を隅田川で見つけ発願した三人の功労者を祀つたもので、明治の法令で神仏が分離されるまで三社権現といふ呼び名で浅草寺と一体となつてゐたといふ。

さて、御輿の宮出しが終はると、今度はその浅草神社の神楽殿で浅草周辺の花柳界で活躍する芸妓さんたちの奉納舞踊が行はれるといふので、お座敷でしか見られない芸が只で見られるとは、こりや見逃せないぞ、と小僧はそれを知つたときに小躍りしたのだが、しかし、みんな若い女性だつたらよいが、オバサンばかりだつたらちよつとがつかりだな・・・まてよ、こういふ場所に出てくる芸者さんたちだから、その可能性のはうが強いかもしれない、と思ひ直した。そこで、あまり期待しないで境内の隅にある神楽殿に向かつたのだが、小僧の予想は大外れ、司會に促されて舞台に現れた芸者さんたちは、全部で六人であつたが、皆若いうへに顔もスタイルも一級であつた。

そこで、喜んだ小僧は人を押し退けて舞台の直ぐ前に行き、その美女たちの踊りをたつぷり楽しんだのだが、艶やかな舞ひを披露してゐる芸者さんたちの晴れやかで美しい顔を眺めてゐると、小僧はなんとなく昔のことが思ひ出された。実を云へば、小僧はその芸者さんたちの職場である浅草の花柳界とは幾らか縁があるのである。

Simg_0073_1その昔、小僧はひよんなことから元プロの歌手でレコードも出したことがあるといふ中年のK といふ男と知り合ひになつたことがあつた。このK といふ男はその時ギターを片手に歌の流しの仕事で喰つてゐたのだが、出向くのは専ら浅草、向島界隈の料亭で、お座敷に上がつて旦那衆や芸者さんの歌の伴奏をするのを主な仕事としてゐたのであつた。その頃はカラオケも今のやうに普及してゐなかつたからそのやうな商賣が成り立つてゐたのである。

そして、どういふ経緯でさうなつたのか今となつてははつきり思ひ出せないのだが、とにかく、そのK の誘ひでギターが幾らか弾ける小僧もその後を附いて廻るやうになり、演歌のリクエストがあればK、ポツプス系の歌のリクエストなら小僧といふ具合に役割を分担して次から次へと料亭を巡り、なんだかんだとやたらに歌ひ手である客を褒め上げて御祝儀を澤山引き出すといふ戦術で、二人で大いに稼いだのであつた。

しかし、間も無く余り女性にもてるとは思へないK が馴染みの芸者と駆け落ちをするといふ意外な事件が起き、美味しい仕事を突然失つた小僧は大いに嘆くことになつたのであつた。だが、その時知り合つた芸者の中には小僧が密かに思ひを寄せる女性も居て、小僧はその女性のことをその舞踊ショーの最中に思ひ出してゐたのだが、その小僧の恋の話をすれば又長くなりさうである、それは又の機會にすることにして、話を三社祭に戻すことにしよう。

袴より振袖好む三社かな  神楽小僧

(つづく)

|

« 浅草三社祭 | トップページ | 浅草三社祭 其の三 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/126829/10236093

この記事へのトラックバック一覧です: 浅草三社祭 其の二:

« 浅草三社祭 | トップページ | 浅草三社祭 其の三 »