日めくり詰め将棋カレンダー2009
昨年、将棋連盟から十七人の女流棋士が独立して日本女子プロ将棋協會(LPSA)といふ組織を作り上げたこと、そのLPSAの企画した「日めくり詰め将棋カレンダー2008」に小僧の作品が掲載されたこと、などを以前書いたが、今年も「日めくり詰め将棋カレンダー2009」が作られるといふことで、小僧は今回もその無い知恵を絞つて詰め将棋を作り應募した。ただ、前回は一題だけであつたが、今回は八題ほど作つて、新しいペンネームで投稿した。
前回、この企画に應募があつた作品の総数はおよそ六百であつたさうであるが、不完全作がかなりの数にのぼり、まともな作品が少なかつた所為か、一人で何題も投稿し、それが全て採用されてゐる應募者がかなり見受けられた。それに反して、カレンダーに掲載された小僧の作品は一つのみで、小僧はその時何となく寂しい氣分を味はつた。そこで今回は「自分も、應募作全部とは云はない、五題くらゐは載せてもらおう」と思つて八題投稿したのである。
だが、云ふまでもなく、小僧はその辺の小学生に負けるほど棋力に劣つてゐて、詰め将棋を作るセンスなどお世辞にもあるとは云へない。なにしろ、余詰めといふ言葉も知らないのである。そのやうな者が、稚拙な詰め将棋を澤山作つて應募したわけであるから、これは要するに、身の程知らずの不遜な行為、あるいは至極滑稽な行為と云ふべきものであつた。とにかく、五題採用してもらはうとはとんでもない話で、どちらかと云へば、全て不採用になつてもおかしくなかつた。
それに、LPSAの應募締切後の発表によると、今回は應募者が倍増して三百人、應募総数が九百三十通といふことであつたから、小僧の作品が全て及第点を与へられるやうなものであつたとしても、それが複数採用される可能性はほとんど無かつた。應募者が一人居れば、不完全作でないかぎり、その人の作品は必ず一題採用するといふのがLPSAの方針で、そのほかに男女両方のプロ棋士と選考委員(詰め将棋作家)の出題枠があり、それが昨年と同数と考へると、カレンダーの三百六十五日はほとんど埋まつてしまふのである。
そのことを知つた小僧は「すると、オイラの目論見は全くのご破算か。苦労して八題も作つたが、どうやら無駄骨を折つたやうだな・・・とほほ」と嘆いた。そして、「今回は、一題でも採用されたら、それで満足としなければならないだらう」と思つた。だが、小僧の苦労は全くの無駄骨折でもなかつた。最近になつて、小僧のもとにLPSAから採用通知書が送られてきたが、それには二題採用と記されてあつたからである。
要するに、それは「つまらない作品ばかりだが、澤山投稿してくれたのに一題だけでは可哀さう、二題採用してやるか」といふ氣持ちで選考委員が選んだ結果と思はれるが、頭の構造が単純に出來てゐる小僧は大いに喜んだ。そして、少し落ち込んでゐた小僧から、普段のどこまでも自惚れの強い小僧に戻ると、
「應募者が多く、できるだけ多くの人の作品を採用してカレンダーの賣り上げを伸ばしたいといふLPSAの事情を考へると、普通は一題しか採用されないだらう。なのに、二題採用されたといふことは、へへ、やはり選考委員たちはオイラの傑出した才能を認めざるを得なかつたといふわけだな、へっへっへっへっへ」
と勘違ひも甚だしい不敵な笑みを、カサゴと兄弟のやうな少々間の抜けたその顔に浮かべるのであつた。(了)
追記:採用された二題についてはそのカレンダー掲載日に言及する予定。上図の詰め将棋は選に漏れたもの。角と桂馬だけで易しい双玉問題ができないかと考へたがこのやうなものしか出來なかつた。作意が見え見えだね、これでは。
注:写真は石橋幸緒女流王位。2007年2月に撮影。
| 固定リンク


コメント