藝協まつりIN 名古屋2008
え~お笑ひを一席申し上げます。最近は朝晩が大変涼しくなりまして、めつきり秋らしくなつてまいりましたな。秋と云へば食欲の秋、読書の秋、なんてえことを申しますが、神楽小僧にとつてはやはり祭りですな。いよいよ秋祭りシーズン到來といふことで、これから各地でいろいろな祭りが行はれることになつてをります。なんとなくウキウキとしてきますな。
ですが、世の中には、こんなのが祭りと云へるのか、と云ひたくなるやうな奇妙な祭りが澤山ありますな。祭りと云へば神様に供物を捧げたり、神事を行つたりするわけでありますが、そんなことは一切しない、神様なんて関係ねえ~、といふやうな祭りがあります。そのやうな類の祭りは、だいたいが、人を澤山集めておいて、何かを見せたり何かを売りつけたりして、金儲けをしよう、あるいは町おこしをしよう、などといふのが趣旨でございますな。
小言幸兵衛さんなどが生きてをられたら、「一体どういふ了見だ? ただのデパートのバーゲンセールなのに○○○祭りなどと祭りと称して客を集めるとは。神様をないがしろにした不届きな奴だ!」などと、きつと頭から湯氣を出して怒られるに違ひないと思ふのですが、小僧風情がかういふことを云ふと、きつと「お前の考へ方は古い」と云ひ返されるのでせうな。
ところで、先日、神楽小僧は名古屋へ行く機會がありまして。その時のことです。大須で祭りをやつてゐるといふ話を聞きつけまして、大須近辺には神社が多い、きつとその祭禮だな、と思ひ早速駆けつけた次第でした。ですが、やはりといふか、騙されてしまひましたな。さうなんです、その祭りは先に述べたやうな、神様なんかお呼びでないといふお祭りでした。
それは「藝協まつりIN 名古屋」といふイベントでした。藝協といふのは落語藝術協會、つまり東京の噺家さんたちの集まりのことですが、聞くところによると、毎年九月になると十日間くらゐ大須演藝場でその興行が行はれるさうです。要するに寄席演藝の特別興行といふことで、この場合のタイトルの「まつり」はスペシヤルといふ意味と云へばよいでせうか。
それはともかく、結局、騙されたといふか、当てが外されたといふか、そんな小僧でしたが、そんなにがつかりしたといふわけでもありませんでした。もともと小僧は落語が好きですからな。そのまま大須演藝場の木戸をくぐつてしまひました。東京に居る時は、時々池袋演藝場や新宿の末廣亭に足を運んでゐる小僧ですから、そこに出てゐる馴染みの噺家さんたちが大須に來てゐるとあつては、ちよいと演藝場を覗いてみようかなと思つたのも当然ですな。
ところが、木戸銭を払つた時です。お金と交換に渡されたそのイベントのパンフレツトが嫌に薄つぺらではないかと感じた小僧でした。そこで、もぎりをしてゐた藝協の事務員にそのことを告げると、彼曰く
「私ら藝協の会長をご存知ですか? テレビの『笑点』に出てゐる、あの桂歌丸なんです。ですから、髪(紙)が薄いんです」
おあとがよろしいやうで。
追記:普段の大須演藝場は十人入れば大入りと云はれるほど客の入りが少ない所であるが、この日は台風一過の土曜といふこともあつて席がほとんど埋まつてゐた。テレビでお馴染みの三遊亭笑遊や桂竹丸が貫禄を示してゐたが、いちばん楽しめたのは半田出身の三遊亭とん馬の十八番の一つ「稽古屋」で、お囃子を澤山取り入れた内容が江戸時代の情緒を感じさせてなかなかよかつた。太神楽の鏡味八千代、初音は四月にデビユーしたばかりといふ話であつたが、なるほど、その初々しいところに好感がもてた。大喜利の寄席踊りでは江戸家まねき猫と桂右團冶の二人の女性がコンビを組んで踊つたが、かういふイベントでしか観られないもので、面白いものを堪能させてもらつた。
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