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2011年1月19日 (水)

林英哲プレイズ『プレイゾーン組曲』

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山下洋輔がプロデユースする東京オペラシテイのニユーイヤー・ジヤズ・コンサート、今年は和太鼓奏者の林英哲をフユーチヤーした内容で、そのタイトルは『林英哲PLAYS PLAY ZONE』であつた。『PLAY ZONE』といふのは山下洋輔が林英哲のために書いた作品で、6つのパートから成る組曲を、和太鼓と、バイオリン、チエロ、クラリネツト、フアゴツトといつた西洋の楽器で構成される室内楽とが一緒になつて演奏するといふ大変ユニークな楽曲である。

2002年に林英哲と、ベルリンフイルのメンバーで結成されたベルリン・シャルーン・アンサンブルといふ室内楽團によつて初演されてゐるが、今回、弦楽器と木管楽器のパートを務めたのはN響や讀響といつた一流オーケストラに属してゐる八人の有能な若手アーチストたちであつた。因みに、彼等のグループ名は新春遊撃八重奏團といふ思はず笑つてしまふやうなものであつたが、その名から判るやうに、彼等のグループとしての活動は今回限りのもののやうであつた。また、今回演奏されたものは改訂版で、編曲を担当したのは狭間美帆といふ国立音大出身のまだ二十代前半といふ若い女性であつた。

さて、それを聴いた感想を述べようと思ふが、これがなかなか難しい。以前、同じ林英哲の大太鼓とオーケストラの共演を聴いたことがあるが、このやうな和太鼓(大太鼓を含む)をフユーチヤーした室内楽といふものは初めてであつたからである。しかし、全体として、そこに緊張感のある濃密な音空間といふものが作り出されてゐるのは感じ取ることができた。そして、それは言ふならば、プリミテイブなもの(和太鼓といふパーカツシヨン)と都會的でソフイストケイトされたもの(室内楽)との拮抗から生まれる、そのやうな極めて新鮮でユニークなものであつた。

東洋音楽と西洋音楽の融合といふ見方もできるが、それは取り立てて問題にすることではないであらう。何故なら、和太鼓は邦楽器と言つても、琵琶や尺八と異なり、西洋の打楽器と余り違はないからである。さういふ意味では、その演奏に武満徹の『ノヴェンバー・ステップス』にあるやうな“異質なものがぶつかり合ふ面白さ”といふものは特に無かつた。しかし、それは作曲者の山下もほとんど意図してゐなかつたと思はれる。山下の狙ひはあくまで林英哲のオリジナリテイ溢れる太鼓表現と、メロデイや和音を奏でる楽器とのコラボレーシヨンによつて産み出される何か新しいものであらう。そして、それはかなりのところ成功してゐるやうに思はれた。

ただ、林の和太鼓から放たれる音楽的エネルギーはとても大きく、それに対抗する遊撃隊の数が八人では少々バランスを欠いてゐるやうに思はれるところがあつた。この楽曲には体育會系のもの(和太鼓)と文科系のもの(室内楽)とのバトルといつた側面があるが、この場合は体育會系のものがあまりにも強すぎたといつたところであらうか。そのこともあつて、演奏を聴いた後に、この作品は和太鼓とフルオーケストラといふ形で一度聴いてみたいものだ、と思はないではゐられなかつた。だが、演奏者もそのやうに感じたらしく、近いうちにそれは実現したいといふことであつた。楽しみに待つことにしよう。

休憩を挟んだ二部では、山下洋輔と縁の深い故岡本喜八監督へのオマージユとしての山下作曲の映画音楽、山下と林のデユオによる『ボレロ』などが演奏されたが、特に印象に残つたのは岡本監督の映画『助太刀屋助六』の音楽の演奏で、山下のピアノから彼に似合はぬ(?)大変ロマンチツクな美しいメロデイが流れ出てきたときにはとても吃驚した小生であつた。


1月15日@東京オペラシテイ コンサートホール

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コメント

3階から見た舞台の写真は、私がいた1階真ん中あたりの席とは全く違い非常に今日意味深い光景ですね!!!
音もだいぶ違うのかな???

「失われたアウラを求めて」さん、コメントありがたうございます。1階真ん中あたりの席はスピーカーを通じての音となりますが、小生の席のあたりは生音に近い音になります。したがつて、弦楽器等の音が弱い、少々バランスを欠いた演奏を聴くことになつたと思ひます。

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